職務で知り得た情報を
元顧問に提供

 秋元被告の初公判から最終弁論までを、ダイジェストで追ってみたい。

 初公判が開かれたのは今年3月29日。秋元被告は人定質問で職業を問われ、とがった声で「衆院議員です」と回答。罪状認否には検察側を睨(にら)みつけながら「すべての事件で無罪とはっきり申し上げる」と主張した。

 4月8日の公判では、贈賄罪が確定した元顧問が証人として出廷し「IR事業進出に強力な後押しをお願いしたいという趣旨だった」と説明。議員会館のトイレで現金300万円を封筒に詰め、羊羹(ようかん)と一緒に紙袋に入れ、秋元被告の事務所で「陣中見舞いです」と渡すと、秋元被告は「ありがとう」と受け取った状況を具体的に再現した。

 その上で、元顧問は「秋元被告からIRの認定区域について、1カ所目は大阪、2カ所目は横浜、3カ所目は地方枠」と公表されていない情報の提供があったと証言。前述した「職務権限」と「利益供与」の関わりが明らかになり、裁判長が証拠採用したところで事実上、公判はゲームオーバーといえた。

 同月14日の公判には別の元顧問が出廷。秋元被告の支援者から「公判で秋元議員に会っていないと証言すれば、全員が無罪だ」と偽証を依頼されたと証言。さらに「弁護士に会ってくれれば2000万、偽証すればさらに1000万(を渡す)」と迫られたが、断ったと述べた。

 同月21日の公判では、秋元被告のスケジュール管理や来客対応を担当していた元公設秘書の女性が、現金授受があったとされる日時に贈賄側の元顧問と秋元被告のいずれも「事務所に来ていなかったと思う」と証言。秋元被告の無罪主張を後押しした。