秋元被告側は
検察側のストーリー破綻と反論

 同月23日の公判では、証人買収の有罪が確定した元会社役員が、秋元被告に「無実の罪を晴らしたい。供述を覆してくれれば弁護士費用や生活費をサポートすると元顧問に伝えてほしい」と依頼されたと証言。元顧問に接触し「贈賄の説明は信憑(ぴょう)性があると感じた。しかし乗りかかった船で、交渉を止められなかった」と説明した。

 6月1日の公判では、秋元被告がIR事業を巡る起訴内容に「私にそんな権限も力もない。(元顧問には)既にオープンになっている情報しか話していない」と反論。証人買収については、保釈条件だった贈賄側への接触の禁止を破った事実を認めた上で「なぜ、うそを言っているのか知りたかった」と話した。

 翌2日の公判で、秋元被告は「仮に陣中見舞いの申し出があっても、外国企業なので受け取らない」と説明。これは政治資金規正法が外国企業の献金を禁止しているためだが、現金授受や職務権限との因果関係による犯罪の不成立ではなく、面会の事実そのものがなかったことを強調した。

 そして迎えた7月8日の論告求刑公判。検察側は収賄について「IR事業の整備に対する社会の信頼を失墜させた」、証人買収は「立法府の一員としてあるまじき犯行で著しく悪質」と厳しく指弾。その上で「弁解を裏付ける客観的な証拠や関係者の供述は存在しない」と主張し、懲役5年を求刑した。

 確かに、検察が押収した現金から秋元被告の指紋が検出されるなど、物的証拠が提出されているが、逆に秋元被告の無罪主張を裏付ける証拠は元秘書の証言以外、ほとんど出ていない。これでは「辣腕(らつわん)」「無罪請負人」として知られる弘中惇一郎弁護士でも厳しいのではないだろうか。

 同20日、秋元被告は最終意見陳述で「日頃の政治活動から、起きるはずのないことばかりだ」「一企業に便宜を図るなどあり得ない」と主張。弁護側は元秘書の証言をもとに「(贈賄側と)面会を裏付ける客観的事実は存在せず、検察側のストーリーは破綻している」などと、100ページを超える最終弁論を朗読した。