異業種参入はドラッグストアへの対抗策か
コンビニのビジネスモデルも岐路に立たされている

 セブン‐イレブンは、これまでかたくなに他社のオリジナル商品を入れることを拒んできたが、自前の売り場にはこだわらないと判断した格好だ。

 鈴木敏文名誉顧問が中枢の座にあり権力を握っていたならば絶対にダイソーを入れたり、他社に任せたりということはさせなかったと思われる。

 だが、現在の首脳陣は「雑貨売り場」をなんとかしなければ加盟店にもプラスにならないし、申し開きができないという判断に傾いた結果だろう。

 なぜ、セブン‐イレブンは自前の売り場作りを断念して「ダイソー」と「ロフト」というブランドに傾いたのだろうか。

 一つは開発費が抑えられ、リスクが少ないこと。もう一つはダイソーというブランドの持つ神通力を使えること。100円という数字は魔力みたいな力が備わっているためだ。

 オリジナル商品だと、値入れは取れるが、リスクも一緒についてくる。数多くの開発商品から導き出した答えといっていい。値入れが取れない分、回転率で補えばいいわけで開発商品にこだわる必要がないこともプラスだ。

 そして、最大の焦点は、ドラッグストアとの戦いだろう。コンビニは「今、ドラッグストアに攻め込まれている」(あるフランチャイズ店オーナー)のだ。これに勝利しないことには業態の存続すら危うい。ドラッグストアを撃破することが本部の最大の使命なのだ。

 ドラッグストアは周知の通り、生鮮食品の取り扱いを開始し、また先にも述べたが、コンビニの牙城である弁当や総菜なども拡充している。そうなると黙って見過ごせないのは必然だ。

 コロナ禍を通り越してきたコンビニもかつての来店客のにぎわいは戻らないと判断、原点に立ち返って地域の便利な店を復活させる取り組みを推進する。本部には、そんな判断が働いているかもしれない。

 日本にはコンビニが異常に多い。しかもフランチャイズチェーンという形態を取り、成立している数少ないビジネスモデルといえる。

 少ない資金で開業でき、我が世の春を謳歌してきた本部。しかし、ここは原点に立ち返って見つめ直す時に来ている。

 1974年に日本にコンビニが誕生して以来、約半世紀。ドラッグストアもコロナ禍の収束とともに、陰りが指摘され始めている。コンビニ店が息を吹き返すとしたら今しかない。

 この流れに乗ることができるのか。できないのか。まさにコンビニ各社は岐路の選択を迫られていると言っても過言ではないのだ。