ドイツ在住日本人からも心配の声、非英語圏での接種の難しさ 

 ドイツでもワクチン接種がなかなか始まらないことを心配する声が上がっていた。ヘッセン州在住で日系企業に勤務するMさんは、非英語圏での接種の難しさについて、次のように話している。

「ドイツではバイオンテック製のワクチン接種が行われていますが、自分で登録したあとはひたすら順番を待ちます。私は4月初旬に登録しましたが、接種対象者はランダムで選ばれるらしく、通知も郵送では届きません。情報取得のため、毎日ドイツ語のWEBサイトとにらめっこが続きました。ドイツ人の同僚の助けなしでは、とても接種にたどり着くことはできませんでした」

 4月にワクチン接種の希望登録をしたMさんが1回目のワクチンを接種できたのは、6月末のことだった。周囲のドイツ人の同僚たちがどんどんワクチン接種を済ませる中で、「どうして自分だけがこんなに遅れるのか、不安でたまらなかった」という。

 Mさんは、中国人の同僚から中国のワクチンプログラム「春苗行動」について聞かされており、その取り組み内容についてはすでに知っていた。

「中国についてはいろいろ言われていますが、在外居住者の私からすれば、緊急時に在外の自国民を守ろうとする必死さは、正直うらやましいと思いました」(同)

 海外で生活する日本人は約136万人(2020年、外務省)。日本政府の在留邦人の保護の姿勢には大きな課題が残されている。「海外で頑張る日本国民を応援する」という原点回帰で、信頼を取り戻してほしいところだ。