プラごみ削減の二つのゴールと
その「先」にある三つ目のターゲット

 さて、ではその先には何があるのでしょうか。そもそも今回の動きについて重要なことは、地球環境を持続可能なものへとシフトすることです。

 プラごみの削減には二つの大きなゴールがあります。一つは温室効果ガスを生む化石燃料使用の抑制です。産業革命以来の地球の平均気温上昇を2030年までに1.5度以内に抑えるには、プラスチックのような化石燃料由来製品の使用や、可燃ごみとしての処理量を減らしていかなければならない。これが一つ目の目的です。

 そしてもう一つ、海洋汚染のもととなるマイクロプラスチックの供給源をしぼる狙いもあります。太平洋側の海岸線に打ち捨てられた日本のプラごみは、海流でアメリカに到達してマイクロプラスチックとなり、海の生態系を悪い方向へと変えていきます。プラごみの削減にはそれを抑える効果もあるのです。

 そしてその動きをさらに先に進めるために、おそらくレジ袋、特定プラ製品に続いて政府が取り組むことになる三つ目の大きな削減ターゲットがあると私は思います。

 実は、プラごみ抑制のために規制をかけるのであれば一番大きな効果があるのがスーパーの食材に使われているプラスチックトレーです。

「いや、それらのトレーはすでに容器包装リサイクル法で回収が進んでいるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実はトレーの自治体回収率は20%程度と、ペットボトルと比較して回収率はそれほど高くはないのです。

 同時にEUのスーパーに出かけると目にするのが、生鮮食料品の「ノントレー包装」です。要するに、トレーを使わずに真空パックにした状態で肉や魚を売るのです。これがスーパーの現場の声としては「トレーと比べるとおいしそうに見えないのでよくない」という強い考えがあって、日本ではあまり普及していません。

 一方でこれらの包装容器は、プラスチック廃棄物として出る使用済み製品の42%を占めます。レジ袋の2%と比べると、圧倒的に社会全体に与える影響は大きいのです。だからレジ袋、特定プラ製品と進んだ次のニッポンの環境政策は、いよいよノントレーに向かうのではないかというのが私の未来予測です。

 結局のところ、わたしたちは地球なしには生きていくことができません。今回の12品目の規制案、いろいろと賛否の声が上がるとは思いますが、大きな流れのなかでの一つの政策だと捉えてその推進を応援したほうがいいと私は思います。