ラオス 2012年11月19日

国際イベントのたびに経済発展してきたラオス
日本と中国が支援でせめぎあい

ラオスへの経済支援でも、日本と中国のせめぎあいが

 今回のメイン会場となる国立国際会議場は、中国の無償援助で建設。建設費は4.5億元(7200万ドル)。首都ワッタイ国際空港の第二、三駐機場などを含む空港改良工事では、3780万ドルの低利子有償支援が行われた。また、各国政府首脳の宿泊施設も中国・ラオスの合弁会社により1億ドルの投資で建設された。

中国の支援で建設されたメイン会場【撮影/『テイスト・オブ・ラオス』】

 この会議だけを見ても、中国の熱の入れようが分かる。2日間だけラオスが世界に注目されるこの機会を逃さず、世界に中国の威光を見せつけるのが目的だったのだろう。ここにきて中国援助のプレゼンスは増している。投資・経済の面でも中国関連の話が盛んだ。メコン川本流でのダム建設、中国とアセアンを結ぶ高速鉄道の着工など、中国からの大型プロジェクトが目白押しだ。

 一方、日本は今回のASEM開催に対し、各国政府専用機がメインで駐機する第1駐機場を建設、空港内のXray保安検査機材、消防車両の整備などの設置のため、2400万ドルを支援したほか、VIP棟の建設支援も行なった。

 ASEMだけを見れば、支援規模は中国よりも少ないが、日本は1991年から継続的に支援を続け、二国間援助のトップドナー(最多支援国)となっている。下記はやや古いデータだが、ラオスへの外国からの二国間援助の内訳である。

 金額ではなく、実際の日中の支援の内容を比較すると、日本は質が高く継続性はあるが地味であるのに対し、中国は質や継続性はともかく大きく目立つ支援をする、という印象を受ける。

 さて、中国と同じ社会主義国でありながら、これまで日本から多大な支援を受けている開催国ラオスにとっては、日中摩擦は微妙な問題だ。ラオスメディア(英字紙)では、どちらの記事も均等に掲載されるよう配慮がなされた。ラオスは親日国家だが、中国からの経済支援(投資)は、今後の発展において重要な位置づけとされている。

 「日本対中国」という、経済大国のせめぎ合いが、小国ラオスの水面下で行なわれているのかもしれない。

日本が支援したエプロン(第一駐機場)拡張部分の建設現場。ASEMでは、51カ国・地域の政府専用機を駐機させた【撮影/『テイスト・オブ・ラオス』】
日ラオスの絆という想いを込めて【撮影/『テイスト・オブ・ラオス』】

(文/森卓 撮影/『テイスト・オブ・ラオス』)

筆者紹介:森卓(もり・たく)
1977年大阪生まれ、富山育ち。日本では元調理師。約8カ月のバックパッカー旅行の後、2002年よりラオス在住。旅行会社を経てコーディネーターに。04年、ラオス初の日本語情報誌『テイスト・オブ・ラオス』を立ち上げる。雑誌(婦人画報社、講談社他)、写真集(毎日新聞他)、テレビ(NHK BS1、毎日放送他)等コーディネート実績多数。

 


幸福の「資本」論|橘玲著 幸福の「資本」論 重版出来!
橘玲著

あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」。あなたが目指すべき人生は?
定価:1,650円(税込) 発行:ダイヤモンド社
購入はコチラ!
世の中の仕組みと人生のデザイン|橘玲のメルマガ配信中! 20日間無料 ザイでしか読めない!橘玲のメルマガ「世の中の仕組みと人生のデザイン」も好評配信中!
月額880円(税込)
いますぐ試す(20日間無料)
 

 

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲のディープなメルマガ
発売即重版決定! 橘玲の最新刊【幸福の「資本」論】発売!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。