競争激化する新電力業界で
自前のバイオマス発電が強み

 栄えある1位に輝いたのは、新電力会社のイーレックス。前期に比べて232.91万円も年収が上がり、平均年収は1147.9万円に達した。

 同社はバイオマス発電事業を強みに、再生可能エネルギーを求める顧客から注文を受け、急成長を遂げている。21年3月期決算は、売上高1418億円(前年同期比60.1%増)、経常利益148億円(同69.5%増)で過去最高を記録。年収が大きく上がった理由は「賞与が業績に連動しているため」(IR担当者)という。

「脱炭素」の追い風を受け、新電力業界全体が好調かというと、そうではない。3月には業界大手F-Powerが倒産した(負債総額は約464億円)。新電力のほとんどは発電所を持たず、卸から電力を調達しており、電力市況に業績を大きく左右される。また、他社との差別化が難しくコスト競争が激化してもいる。

 その点、イーレックスは自前のバイオマス発電所を全国で運営する。「年初に卸電力市場が高騰した時も、自社発電のほか、さまざまに調達を工夫した。日頃のリスクヘッジ施策が生きて、他社との違いが大きく出た」(同)。

 従業員は電力や石油、IT関連などの企業からの転職者が多い。20年春に初めて新卒採用の社員が入社。「やっと新卒を採れるような組織体制になり、会社の知名度も上がってきた」(同)。気になる今後の年収上昇についてはノーコメントだが、引き続き注目企業となりそうだ。