「前から、筋トレはしたいなって思っていたんですよ。でも、仕事が忙しくてできないよ、とも思っていた。でも、生活が変わってハッキリと気がついたのは、どうあがいても僕は夜に筋トレはできない、ということだったんです」

 お店の営業時間が短くなり、以前よりも早く帰れるようになったとはいえ、それでも家に着くのは22時過ぎ。最初の頃は、「以前よりも時間がある!」と感じた上に、ストレスも相まって、筋トレよりも酒量が多くなったそうです。

 しかも、まかないを食べるのは16時台。起きていれば当然お腹が空くわけで、お酒を飲むと何か一緒に食べたくなる……という悪循環。朝起きるのもだるくなってしまうので「とりあえず何も考えずに、帰ったら風呂に入って寝る」という生活パターンに変更したのだそうです。

生活パターンを変更したのが効いた

 23時くらいに寝て、6時には起床。朝にゆとりが生まれたことで、その時間を活用して筋トレを継続できるようになったといいます。

「僕には、まだ気力と体力がある朝のうちでないと筋トレはできない、ということが分かったんです」

 確かに、仕事が終わってから何かしようというのは、それなりの気力と体力が必要。生活の中で仕事の占めるウェイトは重く、したいことのために体力と温存するわけにもいきません。食事コンサルをしていて思うのは、「仕事後にしたいこと」のプランは、最初から厳しい戦いになりがちだということ。筋トレにせよ、自炊にせよ、何かしら時間がかかることを新しく始めて継続するには、仕事以外の生活全体の調整が必要となります。
 
 シェフの場合も、仕事が終わったあとに筋トレ……というのは続きませんでした。早く寝て、朝に時間をつくることで続けられるようになったのです。その過程で、「夜遅くまで飲食をすることがなくなった」だけではなく、1日を通して食べる量が減ったことが「本人的には筋トレを頑張っただけ」で、食事制限のストレスゼロなのに半年で10kg減という快挙に結びついたのでしょう。