米国での消費需要が復活するも、港湾が大混雑

 このような港湾の混雑ぶりは、塩田港だけの問題ではなく、米国の港湾でも見られる。

 というのも、コロナ禍対応で米国は巨額の財政出動を行い、補助金をばらまいたからだ。その効果もあって、消費需要は急騰した。だが、世界の産業チェーンはコロナ禍の影響によってまひ状態に陥っていたため、その製品供給をいち早くコロナ禍から立ち直った中国に依存する状態になった。

 ところが、中国製品を搭載した貨物船がロサンゼルスのロングビーチに到着しても、サンペドロ湾に並ぶ貨物船が延々20キロも続くという、深刻な入港待ち状態に巻き込まれてしまうといった問題も発生している。

 不運なことに、カリフォルニア州で発生した山火事がなかなか鎮火できなかったため、ロングビーチ港付近の鉄道がその影響で運休してしまった。すると、殺到する貨物を、今度は高速道路がさばききれず、ダウンしてしまったのだ。

 こうして、上海からロサンゼルス・ロングビーチ港を経てシカゴまでの輸送日数は35日から73日に長引き、コンテナが始発地に戻るまでに146日もかかった。これは海運の輸送力が、一気に50%も減少したことに相当する。

 前出の塩田港の場合も、感染者が出たことによる作業の一時ダウンの影響で、35万7000個のコンテナが遊休状態になってしまうという問題まで起こした。