中国で海外製品の需要減り、空コンテナが滞留
「ゾンビ船」が現れた

 コロナ禍の影響で、中国製品の世界的需要が高まっているのに、海外製品に対する中国の需要は逆に減っている。

 そのため、海外にいったコンテナが中国に戻らなくなるという厄介な問題が起こった。たとえば、ロサンゼルスのロングビーチ港だけでも埠頭(ふとう)に1万5000個以上の空コンテナが滞留している。オーストラリアとニュージーランドの港に行くと、事情がもっと深刻だ。滞留している空コンテナは、いずれも5万個を超えている。

 こうして中国の港では、コンテナが足りなくて搬出できない貨物が増えるという信じられない現象が起きた。その結果、運送価格の暴騰現象を誘発した。

 例えば、40フィートのコンテナの運送価格は、中国から米国までの場合、普段は3000ドルあまりだったが、いまや2万ドル以上、5倍以上の暴騰という記録を作った。

 また、深セン市に本社を置く中集集団(CIMC)は、海上コンテナの製造・修繕などを行う専門会社だ。同集団のコンテナ製造量は、コロナ禍前の製造量の倍に当たる月40万個まで高められているが、それでも、需要に追いつかない。

 さらに、それまで依頼主があまりいなかった伝統的なパナマ型コンテナ貨物船の賃料が、急に50倍近くも暴騰するという怪現象も起きた。アメリカに滞留している大量の空コンテナを中国に引き戻す需要が出たためだ。業界内ではこの種の貨物船を「ゾンビ船」と呼ぶ。

 中国のメディアは、「常識を破るこのような賃料暴騰現象は、人類が大航海時代に入って以来見たことのないものだ」との海運に長年携わってきた業界関係者の指摘を引用して、こうした現象の是正を呼び掛けている。