“優等生”の他国より跳ね上がった陽性率
検査不足で感染者を取りこぼしている

 下図1は、コロナ対応の優等生であるオーストラリア、韓国、ニュージーランド、台湾、日本(日本はこの中の劣等生)のPCR検査の陽性率(感染者数÷検査数)を示したものである。

 これを見ると日本の陽性率が圧倒的に高い。感染症専門医の忽那賢志大阪大学医学部教授によると、WHO(世界保健機関)は「5%未満を維持すること」を推奨しているとのことである(「新型コロナの「検査陽性率」はどのように解釈すれば良いか」ヤフーニュース2020/12/13)。

 ところが、日本は、2020年2月、4月、7月、11月から2021年1月、4月、7月以降と、7回も陽性率が5%を超え、2021年7月以降は2020年2月に続いて陽性率が20%となっている。陽性率20%とは、5人調べると1人は陽性であるということだ。素人が直感的に考えても、もっと調べればもっと感染者が見つかるのではないかと思う数字である(なお、この陽性率には自費検査で発見された感染者は入っているが検査数は入っていないので陽性率が高くなるという報道がある。「急上昇する陽性率、なぜ?東京22%、川崎は異様な高さ」朝日新聞2021年8月13日17時00分。真偽のほどについての政府からの説明はない)。

 他の国は、感染者が増加して陽性率が高まると検査数を増やしている。下図2で検査数を見ると、ニュージーランドが典型であるが、陽性率が上昇すると、検査数を急激に増加させ陽性率を低下させている。感染者をあぶりだして隔離につなげているのである。

 菅首相は、人事権を駆使して霞が関の役人を自由自在に動かせるとの触れ込みだった。それが危険だという反菅のマスコミ論調はあったが、私は、ワクチンの購入、接種、PCR検査の拡大に危険など何もないと思う。

 自民党総裁選への出馬を表明した岸田文雄前政調会長は公約で、「健康危機管理庁」を新設するとしている。これはたぶん、よいことだろうが、首相が指示しても動かないことは、健康危機管理庁長官が指示してもやはり動かないだろう。日本の役人がなぜ動かないのか、その根源を突き止めないと、何も変わらないのではないか。