1位は1815.8万円減、その独特の理由とは

 1位のイー・ギャランティは、1815.8万円も年収が下がり、平均年収は597.3万円だった。同社は売掛債権の保証を手掛けており、伊藤忠商事が大株主となっている。他の企業と比べてもケタ違いの年収の下げ幅だ。年収減少率(前期比)は、上位5社で最も大きい75.2%だった。

 一見すると信じられない下げ幅だが、独特の理由がある。同社は、従業員に自社の株式を給付する株式給付信託(日本版ESOP)を導入しており、満期を迎え、一部社員の給与が一時的に高くなることがある。そのため、平均年収が大幅に増減しやすいといえる。

 2位のM&Aキャピタルパートナーズは、839.4万円減で平均年収2269.9万円。平均年収が下がったとはいえ、『年収が高い会社ランキング2021【トップ5】』で1位にランクインしており、平均年収が2000万円を超える企業は同社だけだ。

 同社はM&A(企業や事業の合併・買収)の仲介サービスを手掛ける企業だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、20年9月期の売上高は前期比5.7%減の118.7億円だった。同社の従業員の給与は「固定給+インセンティブ+業績連動賞与(年2回)」という構成で支払われており、賞与の割合が高い。よって、業績に連動するインセンティブ賞与の減少が大きく平均年収に影響したとみられる。

 3位のエスケーエレクトロニクスは、301万円減の平均年収545.3万円。同社は京都市にある電気機器の会社だ。主に、スマートフォンやテレビなどの画面を製造する際に使われる「大型フォトマスク」を製造している。

 近年、需要のある分野で19年9月期の売上高は257.7億円で過去最高を記録したものの、20年9月期の売上高は191.0億円で、最終損益は9.7億円の赤字に転落した。オリンピックの延期や各都市のロックダウンが影響し、世界規模でテレビやスマートフォンの販売が落ち込んだことなどが影響している。IR担当者は「過去最高売上高から赤字に転落し、そのギャップが賞与に影響した」と説明する。ただし、5G通信対応のスマートフォンなどの新機種や有機ELパネルの開発が活発化しはじめていて、今後徐々に回復してきそうだ。

 4位の丸紅は、260.6万円減の1192.2万円。今回のランキングワースト500社に入った総合商社は、他に3社(住友商事、双日、兼松)あったが、100万円以上も下がったのは丸紅だけだ。IR担当者は「20年3月期の業績が悪化し、ボーナスに響いたため」と話している。

 丸紅の20年3月期決算は、売上高が前期比7.8%減の約6兆8276億円で、最終損益は1975億円の赤字に転落した。財務基盤の早急な回復が必要になったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により経営環境が大幅に悪化したことから、経営基盤の強化・再構築に取り組んでいる状況だ。21年3月期の売上高は前期からさらに7.3%減少したものの、最終損益は2253億円の黒字に転換。前年よりボーナスアップが期待できそうだ。

 5位は、アパレル事業を営むオンワードホールディングスで、259.5万円減の528.7万円。21年2月期の売上高は前期比29.8%減の1743億円で、最終損益は231.8億円の赤字だった。コロナ禍でアパレル業界全体が厳しい経営状況を強いられており、同社も不採算ブランドの廃止や国内外の不採算店舗の撤退を遂行してきた。また、東京都渋谷区と港区に保有する不動産を売却すると発表していて、固定資産の整理を進め、経営の立て直しを図っている。

 なお、ランキング完全版では6位以下の全500社を掲載している。ぜひチェックしてみてほしい。

>>年収が下がった会社ランキング2021【全500社完全版】を読む