その後、B部長は、早速A社長にD社労士から受けたアドバイスの内容を報告した。その結果、次の取り決めがなされた。
(2)社員に対するワクチン接種の強制は取りやめ、全体朝礼や社内掲示板などでの奨励を行う。
(3)ワクチン接種者へのすき焼きセットの提供は取りやめる。
A社長の取り決め内容を聞いたB部長は一瞬残念そうな表情をしたが、すぐに気を取り直し、
「社長。すき焼きセットは楽しみにしている社員が多かったので、会社からのお年玉として全員に配ったらどうですか?福利厚生費の予算的には十分可能な金額です」
と提案した。
A社長は、B部長の顔をのぞき込み、
「ほう、全員ねえ?」
と首をかしげた。そして困った顔をしたB部長を見ると笑いながら言った。
「分かった。部長の提案通りにするよ。決まり!」
「よっしゃ!!」
B部長は、晩酌をしながらすき焼きをつつく自分の姿を想像し、心の中で叫んだ。
※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。