農作物の輸入は
米国に一極集中

 これだけ自給率が低い日本が食料危機に見舞われていないのは、実は米国の依存度が高いからだ。

 日本の輸入相手国の第1位は米国(約1兆5578億円)、第2位は中国(約1兆1908億円)だが、米国からの輸入の87%が農産物(1兆3624億円)で、中国(約6582億円)の2倍以上ある(2020年実績)。主な輸入品目の国別割合を見ると、米国が占める割合は、牛肉約42%、豚肉約28%、小麦73%、トウモロコシ約64%、大豆73%などだ。

 農産物(畜産物を含む)の輸入は基本的に米国一極集中といってよい。

 鶏肉自体は米国からの輸入はないが、米国からの飼料用トウモロコシが滞るようなことがあれば、国産鶏肉(生産額ベースの自給率66%)や国産鶏卵(同97%)に与える影響が非常に大きくなる。小麦や大豆も7割以上を米国からの輸入に頼っている。

 コロナの影響で、米国の小麦などの輸入が心配されたが、国内需要も伸びなかったこともあり、昨年から今年にかけては、国内での供給不足に陥ることはなかった。

 しかし、地球温暖化の影響は米国でも顕著で、今世紀に入り干ばつや高温・乾燥、豪雨などの天候不良は、たびたび起きている。

 やはり、日本にとって自給率を向上することは最優先の課題である。

(消費者問題研究所代表 垣田達哉)