「優待の内容に興味を引かれたとしても、業務内容をよく知らないIT企業などはやめておいたほうがいいと思います」

 また、人気が高い銘柄の一部は株価が高止まりしているため、今すぐ手を出すのは得策でないと助言する。ちなみに、ともさん氏は、思い入れのある優待銘柄は自分だけでなく家族の名義でも購入することにしているという。割高になったときにどちらか一方だけ売却して利益を確定すれば、もう一方を継続して保有することで優待をもらい続けられるからだ。

 優待は通常、月末に設定された「権利確定日」時点での株主が対象になる(まれに、権利確定日が15日や20日といった銘柄もある)。ただし、優待の権利を得るためには権利確定日の2営業日前までに目当ての株を取得しておく必要があるので注意が必要だ。

 9月は、30日(木)が権利確定日、2営業日前の28日(火)が権利付きの最終日となる。9月は3月に次いで年間で2番目に銘柄数が多く、約400銘柄の権利確定が予定されている。それだけ選択肢が多いということでもあり、優待投資を始める人には好機と言える。

 そこで、前出の小林氏、ともさん氏に、いくつか9月のおススメ優待銘柄を挙げてもらった。

 小林氏の選択基準は「長期の成長力が高い、もしくは業績が安定している割に株価が割安な銘柄」だ。さらに、短期的なリスクを想定し、「コロナ禍でも業績が堅調か、一時的に悪化したとしても耐え得る財務余力がある」ことも考慮した。

 それでは、具体的な銘柄を見てみよう。

 ファミリー層を中心に幅広い年代から支持を得て、コロナ禍でも大きく売り上げを伸ばしているのが回転寿司のスシローだ。スシローを擁する「フードアンドライフカンパニーズ」の優待品はそのスシローで使える割引券で、毎月のように利用している人なら重宝しそうだ。牛丼や寿司業態の拡大が期待される「ゼンショーホールディングス」も、優待は食事券。こちらは、すき家、なか卯、はま寿司、華屋与兵衛、ココス、牛庵などバラエティー豊かなチェーン店で利用できるのが魅力だ。餃子の王将の「王将フードサービス」も、店舗での食事に使ったり、自社商品と交換したりできる優待券がもらえる。