ステークホールダー資本主義という新競争社会、日本企業は勝ち残れるかPhoto:123RF

「(日本は)居心地のよい場所にとどまり続けるとゆでガエルになる。今を変化のチャンスとしたい」――。今年1月に行われたオンライン版ダボス会議「ダボス・アジェンダ」におけるパネル「Japan's Great Reset」で、SOMPOホールディングス社長、櫻田謙悟氏はこう述べた。世界がステークホルダー資本主義へと向かう中、日本が「グレート・リセット」(大転換)を実現できず、「失われた30年」から抜け出せないのでは、という危機感がにじみ出た発言だった。あれから8カ月がたち、日本企業は行動を起こしているのだろうか。連載『ザ・グレートリセット!デロイト流「新」経営術』の#10でそれを検証したい。(デロイト トーマツ グループ 邉見伸弘、南 大祐)

「ゆでガエル化」する日本
ポストコロナの新競争社会で勝ち残れるか

 本連載では、これまで9回にわたってステークホルダー資本主義時代の在り方を議論してきた。ここから明らかになるのは、株主資本主義からステークホルダー資本主義に世界が変わる中でも、資本主義という競争原理は変わらないという事実だ。

 パーパス経営やサステナビリティ、ダイバーシティ&インクルージョンといった、新たな課題が企業に突き付けられている。こうした課題に関連した新たな競争ルールとして、ESG(環境、社会、ガバナンス)情報開示などの枠組みが出来上がってきている。そこでは、これまでの経済一辺倒の成長モデルから脱却し、社会価値と経済価値を両立させた成長が急務となっている。この新たなステージの戦いを制した企業が、ステークホルダー資本主義時代で成功するのだ。

 ポストコロナの新競争時代、果たして日本企業は勝ち残ることができるだろうか。