フォートナイト裁判の影響

 フォートナイト裁判の審理自体は今年の5月24日(アメリカ時間)に最終日を迎え、4500ページにも及ぶ証言記録を精査した結果として、9月10日に判決が下された。

 審理中から担当判事は、アプリ開発者が課金システムのオプションに関してiOS/iPadOSユーザーと連絡を取る際の電子メールアドレスの利用を禁じたアップルの規則などに疑問を呈する一方、「全体的なエコシステムに恩恵をもたらすために利益を活用している」というアップルの主張の妥当性を認めるなど、全体としてはアップルに有利な判断が下されそうな見込みだった。そして、実際の判決も、この流れに沿ったものとなっている。

 具体的には、アップルに対して、アプリに関するオプション購入時にアプリ内課金以外のサードパーティーによる決済手段を認めること、および、アプリ開発者がユーザー登録時などに取得したメールアドレスなどを用いて、ユーザーと直接的なコミュニケーションが取れるようにすることを課した。その一方で、アップルが反トラスト法に違反した事実はないとし、以下の別の集団訴訟で同社が示した和解案のように、15~30%の手数料徴収自体も妥当だと判断された。

 その集団訴訟では、エピック・ゲームズを含めて、アップルの手数料などが不当であるという主張に同調する音楽配信サービスのSpotifyなども原告団に加わっていたため、フォートナイト裁判の行方によらず問題が拡大していく可能性もあった。そのためか、アップルは先手を打って和解に応じ、一部アプリ(年間収益が100万ドル以下の小規模事業者によるもの)の手数料値下げ(30%→15%)や、アプリストア以外での支払いオプションに関してアプリ開発者がユーザーと直接やり取りできるようにするなどの改善策を示して収拾を図ったのである。