列車の運行状況を監視している管理センターの司令員は、列車の種別や運転順序、行先などの情報をコンピュータに入力し、運転順序の変更を行うなど、少しでも早く正常運転に戻す措置をとる必要がある。そのためにも、司令員は各駅の構内の状況や他の列車との接続など、列車の運行に関するさまざまな知識に精通していなければならない。

 たとえば、踏切事故で列車に1時間の遅れが生じたら、その時間内に運行予定の列車をすべて取り止めれば、列車の遅延はすぐに解消でき、正常運行に戻せるように思えるが、その路線の輸送力を維持する必要がある。運転整理は、考えているほど生易しい作業ではないのである。

 1時間近くの遅れが出た場合の1つの手段として、列車を終点まで運転するのではなく、2~3つ手前の駅で折り返すという方法がある。もちろん、折り返し設備がある駅を利用しなければならない。

 手前で降ろされた人は、後続の列車に乗り換えてもらうことになるが、こうすることによって列車の遅れを最小限に食い止めることができるばかりではなく、より早く正常運転へ戻すことが可能になる。ダイヤの乱れによる影響は、できる限り狭い範囲に抑え込むことも必要である。

後続列車が事故で止まると
なぜ先行列車まで影響を受けるのか

 バス停にも時刻表はあるが、道路事情によって遅れることはしょっちゅうである。それに対して、鉄道は専用スペースを走っているので定時運行ができるという強みがある。

 だが、いつも定時運行ができるわけではない。新幹線や山手線、あるいは地下鉄などのように、全線が高架あるいは地下を走る路線であれば、事故が発生する可能性は低いが、ほとんどの鉄道路線には踏切が存在する。そのため、踏切で事故を起こして、列車に遅れが生じることがしばしばある。