河野首相(仮)に保障年金実現で
気をつけてほしい2つのこと

 実行者は誰でもいいと先ほど書いたが(実際にそう思うけれども)、せっかくだから構想の提唱者である河野氏が首相になると仮定しよう。

 河野首相は、保障年金構想を実現するに当たって何に気をつけるべきか。

 思うに、つまずきのもとになりかねない石が二つある。

【1】財源論でつまずくな!

 一つ目の石は、河野氏が「財源をセットで同時に手当てしなければならない」という思考の枠組みの罠にはめられて(はめる人は官僚だ)しまうことだ。その結果、例えば消費税の増税とセットで保障年金構想を実現しようとして、「財政の緊縮化による景気後退・デフレへの逆戻り」や「消費税率引き上げによる政治的逆風」(野党には格好の攻撃材料だ)などの災いを自ら招くことだ。

 財源としては消費増税も視野に入ると、河野氏は一度目の討論会でも述べたようだが(財務省に気に入られたいマスコミは、こういう話は大きく報じるはずなので、要注意だ)、ここは、振り上げた拳を下ろして冷静になってほしい。

 少なくとも今、消費税率を引き上げるのは、マクロ経済政策としても政治的戦略としても「全く愚かなこと」だ。

 そもそも、お金には大きさ(数字)はあっても、色は着いていない。新規の支出(ないし減税)に対してその都度「財源」を一対一対応で同時に手当てしなければならないとする予算の慣行は、企業経営で言うなら、製品ごとにバラバラにビジネスの資金を都合せよとルール化するくらいの巨大な財務的非効率だ。行政改革のためにも、この思考から早く脱却すべきだ。

 加えて、経済政策の運営には、マクロ経済的な状況を踏まえた「タイミング」の問題がある。

 年金の支出に対して長期的には、誰かの税負担の増加が必要だ。しかし、それを行うべきタイミングは、デフレ目前の低インフレに困っている「今」ではない。

 消費税率を引き上げたいと企図する官僚は、保障年金構想に絡めて消費税率の引き上げを狙ってくるだろうが、その企みには乗らない方がいい。