不可避なチャイナリスクへの対処法

 中国マイクロEVベンチャーを軸としたスキームに脆弱な点がないわけではない。ひとつは生産拠点を外部に依存するという点と、もうひとつはそれが中国であるという点だ。生産拠点を持たないことはビジネスメリットも多く、ファブレスは有効な戦略のひとつで、1社だけにロックアウトされるようなことがなければ対応可能だ。そして、グローバルビジネスでは、「ケイレツ」よりオープンなサプライチェーンが主流になっている。半導体ウェハーがTSMCとサムスンに依存しているように、調達や製造の単一点依存のリスクは織り込み済みにしておくべき項目だ。

 米中貿易摩擦に見られる安全保障や情報管理にかかわるリスクは別問題と言える。今回のミュンヘン取材では、ADASや自動運転技術でも中国企業の存在感が感じられた。高精度マップの作成や自動運転用の学習データ収集技術、さらに自動運転の人工知能プラットフォームを展示するサービスプロバイダ、ソリューションプロバイダも多く出展していた。IBMのブースに出展していたb-plusという会社がそのひとつで、人工知能エンジンや画像認識アルゴリズムに中国の技術を利用している。

 中国はいまや人工知能大国でもある。人工知能の基幹技術やプラットフォームで彼らとの関係は避けられない。そのため、中国の人工知能関連企業と同等の知識とリソースを持つしかない。製品の要件定義をしっかり行い、自ら仕様や技術を解析・検証できるだけの能力が求められる。安易にアウトソースすればいいという考え方は危険だ。