Hさんが生活費以外に使えるお金は
いくら残っているのか?

 生活費以外に3736万円が使えると試算しできましたが、正確にはその全額が使えるわけではありません。移住に際しての交通費のほか、移住先で家を借りる場合の費用、車を保有する場合はその費用も考慮する必要があります。

 交通費に関しては移住後、日本には全く戻らないのか、あるいは数年ごとに戻るのか。戻る場合は、日本での滞在期間はどのくらいか等々の費用も考慮しておかなければなりません。日本に戻る回数が増えるほど費用は増え、逆に回数が少ないほど費用は少なくなり、移住先で使うことができるお金が増えることになります。

 また、Hさんが亡くなった後、奥様がどこで生活するのかも考えておかなければなりません。そしてHさん自身も移住先で最期を迎えるのか、日本に戻って迎えるのかも考えておかなければなりません。

 上記の費用は、いくらあれば大丈夫と確約することははできません。目安として仮にこれらの費用を500万円と考えれば、金融資産額3736万円から500万円を差し引いた3236万円が、800万円と考えれば2936万円が生活費以外に使えるお金になります。

 ここまでの試算で考慮していないのが、Hさんが亡くなった後に奥様が住む「終のすみか」の費用です。日本に住んで最期を迎えるとするならば、その資金の手当てをしておく必要があるでしょう。

 相談文には、奥様が生涯暮らしていけるようにするのはどの様にすればよいか?と記載があるので、このあたりもしっかり考えておきましょう。

 なお、試算はあくまでも記載された金融資産の金額で行いましたが、会社の営業利益などから推測すると会社経由でHさん夫婦の資産を作っている気がします。Hさん自身で再度試算する場合、会社は解散するのですから、会社経由で保有する資産を加味することを忘れないでください。

 今回は多くの推測を重ねて試算したので、Hさんが考えているリタイア後のイメージと大幅に違っているかもしれません。試算結果は参考程度にとどめておいて、これを基にHさん自身で子細な数字を使用して試算すると良いと思います。

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)