ベーシックインカムに「財源」はある!
よくある批判は愚かというしかない

 河野年金のような、「ベーシックインカム的政策」(現金を概ね一律・公平にばらまく政策)に対して、「財源がない」という指摘がしばしばなされるが、実はこの批判は「全く愚か」というしかない。なぜなら、支払いが増加するベーシックインカムの額の分だけ、国民全体の手元にはキャッシュが増えているからだ。

 徴収しないことになる年金保険料は(正確には課税を差し引いた額だが)、現状と比較して追加的に国民の手元で増加しているので、国民全体として負担能力が増えている。この事情は、基礎年金の保険料を「年金税」としてこれまでと同じだけ徴収すると、財源が足りることから明らかだろう。

 ついでに言うと、この無意味とも思える置き換えを行うだけで、国民年金の加入勧奨や保険料の徴収などに関わる、膨大な事務作業とそのコストが削減できる。

 もちろん、所得が低い勤労者にも一律に負担を求める「年金税」は社会通念上妥当ではあるまい。

 はっきり言うと、「基礎年金の全額国庫負担」のようなベーシックインカム的な政策への反対意見は、相対的な富裕層が再分配を嫌っているというだけの話なのだ。これを、財政の歳出と歳入をあえて分けて論じて、「財源をどこから持ってくるのですか?」とやっているのが、「再分配に冷たい国ニッポン」の現実なのだ。

 率直に言うと、自分自身がそれほど高所得者でも超富裕層でもない公務員たちが、前時代的な財政ルールを奉じて、格差を解消する再分配に対して消極的な理由が分かりにくい。ケチな金持ちの手先に成り下がっていることを残念に思わないのだろうか。