白紙委任状に要注意!
議長の選任は慎重に行うべし

 無事に臨時総会の開催にこぎ着けたとしても、もうひとつ注意しなければならないことがある。「その議長を誰が務めるのか?」という点だ。

 通常総会や理事会、監事が招集する臨時総会では、「総会の議長は、理事長が務める」(標準管理規約第42条第5項)という規定により、理事長が議長として議事を進行する。

 しかし、組合員の招集による臨時総会の場合には、「第42条第5項にかかわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面、電磁的方法、又は代理人によって議決権を行使する者を含む)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する」(第42条第3項)と規定されていることから、理事長以外でも議長を務めることができる。

 つまり、組合員の過半数の賛同を得られれば、理事長が議長になってもいいし、総会を招集した5分の1側の組合員がなることもできるわけだ。

「議長など誰がやってもいいじゃないか」と考える人もいるかもしれないが、議長次第で、議事の進行が大きく変わることがある。大きなポイントとして「白紙委任状」の扱いが挙げられる。

 一般的に、総会開催時には議案書とともに委任状が送られてくる。簡単にいえば、委任状は「自分の代わりに議決権を行使する代理人」を指名するものだ。代理人になれるのは、「配偶者(パートナー)または一親等の親族」「組合員の住戸に同居する親族」「他の組合員」に限られる。

 この委任状に代理人が明記されている場合は問題ないが、代理人が明記されていない委任状、いわゆる白紙委任状の場合には、議長に委任したものとみなされるケースが多い。そのため、白紙委任状が多ければ多いほど議長の「票」が増えることになり、議長に有利な方向に決議がなされる可能性が高くなるわけだ。

 特に、コロナ禍にある現在は、全体的に総会への出席率が低下しており、委任状や議決権行使書による出席率が上がっている傾向にあるため、そのあたりも考慮する必要がある。

 組合員の招集による臨時総会の場合、その開催目的は理事長や理事会に対する要求であることが多いという点を考えても、理事長が議長を務めるのは具合が悪いことになる。

 白紙委任状の扱いについては、管理規約に「代理人の指名がない場合は、議長に委任したものとみなす」などと補足事項を定めているところも多いので、自分のマンションの規約をしっかりと確かめ、議長の選任も含めて、抜けや落ちがないように慎重に進めたいところだ。