1年ほど前には、富の過度な集中を防ぐため「ぜいたく禁止令」を出し、飲食の浪費などを抑制してきたが、今度は富の偏在で国民の不満を引き起こさせないよう、もうかっている業種を狙い撃ちにして、引き締めを図っているのだ。

 当然、それは、来年秋の党大会で中国共産党総書記として3選を確実にし、自分の代で「中華民族の偉大なる復興」を成し遂げるための措置である。

米中衝突リスクが高まる中で
問われる岸田氏の覚悟

台湾有事 米中衝突というリスク『台湾有事 米中衝突というリスク』
清水克彦 著
平凡社新書
税込946円

 習氏の台湾統一への動きや台湾有事が起きる際はどのようなことが考えられるかは、10月15日発売の拙著『台湾有事 米中衝突というリスク』(平凡社新書)に詳しく記した。

 いずれにしても、首相になった岸田氏はこのような人物と駆け引きをしていかなければならない。

 サイバー攻撃をいかに防ぐか。台湾近海や尖閣諸島海域で有事となれば今の法整備で対処できるか。また有事とならないようアメリカなどと協力してどのように抑止していくか。

 日本の領土、領海、領空、そして何より国民の生命、財産を守るための戦いはこれから始まることになる。

(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師 清水克彦)