もう一つデメリットとなるのが、ICLの手術を受けると手前にピントが合いにくくなることがあるという点だ。ネイリストなど手元で細かい作業を必要とする職業に就いている場合などは、注意が必要だ。

 なお、ICLの登場当初は眼内コンタクトレンズは緑内障や白内障になりやすいとされてきたが、真ん中に穴が開いたホールICLが開発されたことでこのリスクは低減している。

良好な視界のために
40歳以降の世代が選び得る選択肢

 では、中高年にさしかかっても裸眼で良好な視界を得るためにはどうしたらよいのだろうか。選択肢となる視力矯正手術をいくつか紹介したい。

ICL

 45歳前後が年齢的な適応上限であるICLだが、視力の変動状況、老眼の進行具合、病気の有無などによっては十分選択肢となる。日本では厚労省の認可が下りていないものの、老眼用のICLも登場しており、国内でも手術を受けることは可能だ。ただし、老眼用のICLは通常のICLよりもさらに高額である傾向が強いことは留意したい。

 ICLの良さは「可逆性」だ。老眼や白内障になったときには眼内コンタクトレンズを取り出す、または日本で老眼用ICLの認可が下りてからレンズ交換をするなど、臨機応変な対応ができる。年齢で尻込みせずにICL治療を受けて、状況が変わったらそのときに考えることも可能だ。

ミドルエイジレーシック

 ICLとは異なる解決法として近年は、近視・遠視・乱視を同時に矯正できる「ミドルエイジレーシック」なるものも登場している。以前は、利き目で遠くが、反対の目で近くが見えやすくなるように手術することで老眼を矯正していた。しかし、これでは左右の見え方の差が大きく、不自然さを感じる人も多かったという。

 そこで、ミドルエイジレーシックでは焦点を1点に絞らず、ぼんやりと見える部分を増やすことで自然な見え方を追求している。ただし、目の状況によってミドルエイジレーシックを受けたくても受けられない場合や、手術後も老眼鏡が必要になる場合があることを承知の上で判断をすることが必要だ。