現在、世界で開発されている培養肉はミンチ状の肉ばかり。ただの筋細胞の集合体で、肉ならではの食感や食べごたえは期待できない。ミンチからステーキにステップアップするためには、筋組織を立体構造にするという極めて高いハードルがある。

 日清食品HDと東大の共同研究グループは、世界で初めてその難関を突破。2019年3月に、縦1センチ、横8ミリ、厚さ7ミリ、重さ1グラムのサイコロステーキ状の培養肉を作ることに成功したと発表した。

 日清食品では、この培養ステーキ肉の研究開発を急ピッチで進め、2024年度中には基礎技術を確立することを目指している。スーパーに並ぶ肉のパックに、「サイコロステーキ(培養肉)」のラベルが貼られる日はそう遠くなさそうだ。

 培養肉の未来は大きく開けているように思えるが、実際に普及させるためには大きな関門がある。「何となく気持ち悪い」というイメージをいかになくすか、という問題だ。この心理的な抵抗感をなくすことができれば、一般に想像されるよりもずっと早く、培養肉は浸透していくのかもしれない。

 次回(10月13日更新)は、大豆ミートなどをはじめとする「もどき食材」の可能性について解説する。