認知症の最大リスクは運動不足、鍛えれば老いてなお成長する脳の仕組み運動は認知症を予防する効果があることがわかってきた。そのメカニズムとは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

運動は脳の機能を押し上げて、感情コントロールさえしてくれるという。実は最近の研究により、運動は認知症を予防する効果があることがわかってきた。運動によって「脳力」がアップする、知られざるメカニズムとはどんなものか。(マガジンハウス『ターザン』2021年6月10日号特集「運動は、なぜ脳に効くのか?」より転載)

認知症の最大の原因は
日頃の運動不足にある?

認知症の最大リスクは運動不足、鍛えれば老いてなお成長する脳の仕組み2011年、アメリカで報告された年間のアルツハイマー病患者数(推定値)。これをリスクファクター別に分類した結果、最も多かったのは、「身体的不活動」=「運動不足」であることが示された
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 2050年には世界で1億人を突破するといわれている認知症患者。ひと口に認知症といってもさまざまな種類があるが、その約7割を占めているのがアルツハイマー型認知症。アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積し、脳の神経細胞が死滅していく病気だ。

 アメリカの報告では、アルツハイマー型認知症の最も影響が大きいリスクファクターは、喫煙でもなく肥満でもなく、なんと「運動不足」だという。実際、日本の厚生労働省の研究では、軽度の認知症グループに運動を行わせたところ、10ヵ月後には認知機能が明らかに回復したという報告もある。

 神経細胞の死滅によって萎縮が始まるのは、記憶に関わる海馬という部位。果たして運動で海馬の萎縮は防げるのか?

 結論から言おう。運動で海馬の萎縮は防げる。それどころか、運動によって海馬の容積は拡大する。下のグラフがその証拠だ。

認知症の最大リスクは運動不足、鍛えれば老いてなお成長する脳の仕組み55〜80歳の健常者120人をウォーキングを行うグループとストレッチを行うグループに分け、半年後と1年後に脳の状態を検査。有酸素運動グループでは海馬の容量が2%増加した
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