それでも、「人のためになる」「大豆は地球を救う」という信念のもと、研究を重ねていく。肉は種類や部位によって味が異なる。そうした肉ならではの味わいを再現しようと、油脂製造で培った技術によって、食感などが異なる約60種類もの粒状大豆たんぱく質を開発した。これらを自在に組み合わせることによって、さまざまな肉料理を再現することができるという。商品は業務用として、食品メーカーや外食産業などに供給している。

 不二製油があきらめずに手掛けてきた大豆ミートは、最近の代替肉市場の盛り上がりに伴い、クローズアップされるようになった。赤字だった時代に比べると、発注は10倍ほどに急増したという。時代がやっと不二製油に追いついたわけだ。この需要拡大を受けて、不二製油では2019年から2020年にかけて、千葉県に大豆たんぱく質素材商品を製造するための新工場を建設した。

 また、大豆ミート商品に対する消費者の反応を探るため、2020年9月から翌年3月までの期間限定で、大丸心斎橋店の地下食品売り場に惣菜店を出店した。ここで得た売れ筋の傾向や生の声を分析し、新たな大豆ミート商品作りに生かしていく。

普通のスーパーで代替肉が簡単に変える時代に

 そもそも日本には古くから、大豆などのたんぱく質を利用する精進料理があり、豆腐料理やおから料理も好まれている。このため、植物由来の代替肉について、「なぜ、いまさら?」と興味を持たない人もいるだろう。

 こうした日本でも最近、地球環境への配慮や健康志向の高まりにより、代替肉が普及しつつある。たとえば、大手スーパーのイオンの取り組みだ。限定店舗で今年3月、自社プライベートブランド「トップバリュ」から、新商品「大豆からつくったミンチ」の販売を開始した。