世界が注視し続けることが
アフガニスタン国民を守ることにつながる

――アフガニスタンに残された人たちを守るためには、何が必要か。

瀬谷「交渉の中で『世界が見ているんだ』ということをタリバンに示しながら、彼らの行動自体が変わるように、私たちが根気強く働きかけをしていく必要があります。女性たちが今、首都のカブールでも地方でもデモを行っています。彼女たちは女性の権利を主張するだけでなく、若者たちを強制的に戦争地域に送らないでほしい、またタリバンを支援しているといわれているパキスタンに対して介入をやめてくれということなどを訴えています。

 彼女たちもやはり、『外国のメディアが自分たちの近くにいて、デモを撮ってくれることが抑止力になっている』と言っています」

Photo by Rumiko Seyaタリバンに対し、危険を冒して顔出しで女性の自由を求めるデモを行う女性たち Photo by Rumiko Seya


瀬谷「先日もカブールで政治的なデモをしていた女性たちが、タリバンに駐車場のようなところに閉じ込められて出られなくなってしまったり、現地のメディアがカメラを奪われたり、複数人が拘束されたりということが起きています。私が連絡を取っていた女性活動家も、地方で行われるデモに『仲間の女性たちが出ているので自分も参加する』と隠れ家を出て向かい、それ以降連絡が取れていません。現地の情報によるとタリバンがそのデモに対してかなり長い発砲をして、7人けがをして、2人亡くなったという報道がされています。すごく心配しています。このままだと、目の届かないところで何が起きているか分からず、(アフガニスタンは)何もできない無法地帯になってしまう。

 その一方で、伝統的な部族社会を良しとするアフガニスタン人も、当然います。年配の方や農村部には特に多い。タリバンと自分たちの伝統的な価値観とがそれほど大きく違わないので、『まぁ、自分たちの身の安全さえ守ってくれればタリバンでもいいよ』『前の政府も汚職まみれだったし』といったことを言う人たちもいます。私たちはそこから排除されてしまう人たちの声を見ていかなくてはいけない」