半導体不足を
三つの視点から考える

「半導体不足」というキーワードでどのような経済記事が出てくるのか? 冒頭に紹介した以外にも、自動車業界では特に中国での販売減少が大きいとか、パソコンや家電商品だけでなく、おもちゃまで供給が遅れているといった記事がたくさん見られます。要するに広範囲の製造業で、半導体不足による減収減益が危惧されそうです。

 一方で、2021年の日本の半導体製造装置メーカーの売り上げは3割も増加しているといいます。世界的に半導体工場への投資が盛んになってきているのです。

 例えば、シリコンウエハー(半導体の「基板」となる素材)大手の日本企業SUMCOも2287億円を投じて工場を新設します。これらの情報は株式としては買いの要因かもしれません。

「半導体不足はもう1年近く経済問題になっている。メーカー側もわかっていて大規模投資も始まっている。いずれ解消されるだろう」と考えたくなるところです。

 しかし、半導体不足の問題はもう少しややこしいのです。

ここからは、

(1)コロナ禍からの回復期の世界的な需給の崩れ
(2)サプライチェーン各所の目詰まり
(3)半導体業界特有の事情


 の三つの順序で、世界的な半導体不足について先行きを考えてみたいと思います。