◇自己卑下の口ぐせ

「私なんて……」、「私イケてないな……」、「サイアク!」と「あえて自分を卑下する」心理的理由の一つに、不快な思いの“予行演習”がある。

 例えば身につけている物に自信がもてないときに、あらかじめ「イケてない」としておく。すると、他人からそれを指摘されても想定内としてストレスが軽くて済む。自己卑下の口ぐせにも相応の理由や効能はある。

 しかし口ぐせを続けることによって暗示的に、「イケてない自分が本当の自分」になってしまう恐れもある。「イケてない」「サイアク!」な自分を避けるための口ぐせのはずが、使えば使うほど定着し、自分を貶めてしまう。

◇人を遠ざける口ぐせ

「普通は~」「基本は~」「世間では~」といった言い方が口ぐせになっている人も少なくないだろう。こうした言い方は、「自分は世間一般の人と同じ感覚で、“普通”なことを言っている(、だから正しい)」ということを主張している。

 しかし、この“普通”とは、その人にとっての“普通”であって、社会共通の“普通”とは限らない。

 人との会話でこれが口ぐせになっていると「自分の価値観を押し付けるウザい人」、「思い込みの激しい独りよがりの人」という印象を植え付けてしまう。

 口ぐせは自分を守る“鎧”の役割を果たしている。その下に貧弱で弱い自分が隠れてもいる。

◇朝の一言

 口ぐせで変わるのは、気持ちや評価、周囲との関係といったことばかりではない。身体の疲労度にも影響する。

 ある女性は、朝起きたときに「寝ても疲れが取れていない」「ものすごく体がだるい」と言い、一日中その気分を引きずっていた。そして全てを「やっとこなしている」毎日だったという。

 そこで、この「だるい」という口ぐせを「癒される」に変えた。不自然でも、寝起きに「癒される」と言うようにしたのである。