ポジティブな口ぐせに変えることで、それまで見えていなかった物事や他人の特徴を冷静に観察できるようになる。それをマスターできれば、相性の悪い人とでも、「この人にはこんな魅力があったんだ!」と思え、イライラが少しずつ減っていく。

◇私は悪くない

 他人から問題を指摘されたり、怒られたりしたときに「私は悪くない」という言葉が浮かぶことがあるだろう。この言葉は、「あなたの見方や判断のほうが間違っている!」という怒りを相手にぶつけたいという心理に基づいている。

 しかし、それを相手にストレートに言っても伝わらない。反対に「お前はちっとも反省していない!」と叱られかねない。

 そうした場合、「客観的に見てくださってありがとうございます」を口ぐせにしてみよう。言われた相手は「あれ?私って客観的な判断をしているのかな?」と戸惑う。そして相手の脳内で、思考が「客観的な視点」から修正される。「あ!この人が悪いわけじゃないんだ!」と気づいてもらえるのだ。

◇お願いします

 相手にお願いをするときは、「お願いします」の前に「いつも助けてくれてありがとう!」と添えるのを口ぐせにしよう。

 助けてもらったことがなくても構わない。ほめられると、相手の脳内では「あのことを言っているのかな?」と、自分が助けたかもしれない場面を検索する心理が働く。褒めた後だとお願いも聞き入れられやすくなる。

 反対に、相手からのお願いを断るときは、「いつも気を使ってくれてありがとう」と一言加えてから断る。こうすると角が立たない。

「断る」行為は、相手との適切な距離感を保つのに重要な役割を担っている。適度、かつ気楽に相手の依頼を断ることで、「私は私、そして相手は相手」という、互いが尊重し合える距離を保つことができるようになる。