睡眠薬の長期連用、更年期女性では効果なし?写真はイメージです Photo:PIXTA

 夏の「睡眠負債」を過ごしやすい秋に取り戻したい場合、特に更年期の女性は薬に頼り過ぎないように気をつけたい。

 閉経前後の女性の多くは不眠症に悩まされがちだ。更年期症候群の一症状として簡単に睡眠薬を処方されるケースも少なくない。

 米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の研究者グループは、睡眠障害に悩まされている更年期の女性(平均年齢49.5歳、平均体格指数29.1)を、処方された睡眠薬使用群238人、睡眠薬非使用群447人にわけて睡眠障害の種類を評価した後、2年間の追跡調査を行った。

 睡眠障害の種類は、(1)なかなか寝付けない「入眠障害」、(2)途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」、(3)早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」の3種類(重複例を含む)で、程度については「全く問題はない」から「週に5日以上、つらい思いをしている」までの5段階で評価し、自己申告してもらった。この時点で、睡眠薬使用群と非使用群の「睡眠の質」はほとんど似通っていた。

 さて、試験開始時点から1年後、2年後にも同じように睡眠の質を評価した結果、睡眠薬を飲んでいた女性たちの睡眠の質は「ほぼ変化なし」で非使用群と同じ微妙な改善にとどまっていたのである。つまり、どの睡眠障害パターンでも薬の効果は認められなかったのだ。睡眠薬の種類ごとに検討してもこの傾向は変わらなかった。

 研究者は「慢性的な睡眠障害で長期間、薬を飲んだところで有効だという証拠は何もない」とバッサリ切り捨て、「睡眠薬の処方は効果が証明されている数日~数週間にとどめるべき」としている。

 確かに長期連用のリスクを考えると服薬以外の方法が望ましい。

 薬以外の手段で睡眠障害を改善するには、よくいわれる「朝の光」を浴びて体内時計をリセットし健康的な睡眠リズムを取り戻すほか、寝室や寝具を整え「寝るムード」を演出するといい。

 また、最近は腸内細菌を養う「腸活」が睡眠の質をあげるという研究成果が国内外から報告されている。野菜や全粒穀物、発酵食品を意識して食べていこう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)