半導体、自動車、工作機械
IT機器、鉱物資源が落ち込む恐れ

 中国の不動産市場の先行きは楽観できない。エバーグランデなどの本格的なデフォルトが起きれば、世界経済にさまざまな経路でマイナス影響が波及することになる。

 まず、経営破綻に陥った中国企業の社債などを保有する、主要先進国の金融機関が直接、損失を被るリスクだ。ただ、今回のケースでは、もともと格付けの低い中国の不動産会社の債権を保有している欧米企業は限定的とみられ、その損失は限られた範囲にとどまるだろう。エバーグランデなどのデフォルトが、リーマンショックに匹敵する世界的な金融危機を発生させる可能性は低い。

 一方、世界経済に対して間接的な影響は軽視できない。デベロッパーのデフォルト発生は、中国経済を支えてきた不動産市況を悪化させる。それによって、中国経済の減速は一段と鮮明化するだろう。その展開が現実のものになると、中国の個人消費は減少し、設備投資も落ち込む。日本をはじめドイツや韓国、アジア新興国など、中国経済に依存する国の経済は大きく足を引っ張られ、世界全体でGDP成長率が低下する恐れがある。

 具体的には半導体、自動車、工作機械、産業用ロボット、パソコンなどのIT機器、鉱物資源、中国から海外への観光需要などが落ち込む恐れがある。世界経済における中国の存在感が大きくなってきただけに、中国経済の減速が世界経済に与える負の影響は軽視できない。