森保氏は選手から
「みこしを担ぎたい」と思われる監督

「オレら生き残ったぞ! 絶対行くぞ、ワールドカップ!」

 興奮冷めやらぬ森保監督が絶叫する姿を、日本サッカー協会の公式YouTubeチャンネル『JFATV』内で14日に公開された動画が伝えた。

 9月に開幕したアジア最終予選で日本は1勝2敗と出遅れた。3連勝と波に乗るオーストラリアにも敗れれば、来秋のカタールワールドカップ出場が限りなく遠のく。

 悲願の初出場を果たした1998年のフランス大会から、6大会連続で戦ってきたワールドカップの舞台に、自らが率いるチームが立てなくなるかもしれない。

 すでにネット上は自身の解任を求めるファン・サポーターの投稿であふれていた。国内外の一部メディアでは、後任監督候補の具体的な名前も報じられていた。

 想像を絶するほどの重圧を背負っていたと容易に察しがつく。もう1敗も許されない一戦への覚悟と決意とが相まって、図らずも国歌斉唱時の涙に変わったのか、と。

 胸中に秘めるべきだった本音を、こらえ切れずにのぞかせてしまった森保監督のキャラクターを、端的に物語る場面が10月の代表活動中にあった。

 日本はまず敵地でサウジアラビア代表との第3戦に臨んだ。試合前日の6日にオンラインによる囲み取材に応じた、キャプテンの吉田麻也がこんな言葉を残した。

「みこしを担ぎたいな、と思う監督であることは間違いないです」

 激しいバッシングの渦中にいた森保監督へ選手として、そしてキャプテンとして抱く思いを問われた直後に返ってきた答えに一瞬ながら驚かされた。

 慣用句である「みこしを担ぐ」は「ある人を祭り上げる、おだて上げる」を意味し、特に政界の権力者をやゆする場合の例えとしてよく用いられる。

 ただ、とっさに思い浮かんだ意味を、吉田が森保監督に対して使ったわけでないとすぐに分かった。答えは「みこしを担ぐ」が持つもう一つの意味にあった。

 それは「高い地位につく人の面目が立つように、縁の下であれこれ努力するさま」となる。指揮官を支えたいと思う理由を、吉田は自身の経験に沿って説明した。

「僕もいろいろな監督とやってきましたけど、まあまあ難しい方が多いです。その中で本気で選手のことを考えてくれる監督は、僕のキャリアでも本当に少なかった。その一人が森保監督。選手ファーストで物事をここまで考えてくれる監督はなかなかいない」