脳を若返らせる物質「マイオカイン」の秘密、筋肉との深い関わりとは筋肉が出すマイオカインという物質が、脳の認知機能をアップさせる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

運動は脳の機能を押し上げて、感情コントロールさえしてくれるという。実は最近の研究により、運動は認知症を予防する効果があることがわかってきた。筋肉が出すマイオカインという物質も、脳の認知機能をアップさせるのだ。(マガジンハウス『ターザン』2021年6月10日号特集「運動は、なぜ脳に効くのか?」より転載)

動くと筋肉から脳を
刺激することができる!

 2000年代以降、運動生理学の分野で俄然注目されるようになったキーワードが「マイオカイン」。「マイオ」はギリシャ語で「筋」、「カイン」は「作動物質」。筋肉から分泌されるさまざまな生理活性物質の総称だ。

 もちろん、ただぼーっとしていてはマイオカインの恩恵は受けられない。運動して収縮・伸展を繰り返すことで初めて骨格筋から分泌されるものが多い。運動による代謝アップや生活習慣病の改善、認知症の抑制などはマイオカインがもたらしている可能性が高いと考えられている。

脳を若返らせる物質「マイオカイン」の秘密、筋肉との深い関わりとは

 これまでに数十種類のマイオカインが報告されているが、とくに脳の成長に有効と考えられている代表格が「BDNF」と「IGF-1」という物質。そう、BDNFはすでにご紹介した海馬周辺で増える脳由来神経栄養因子。実は運動時の筋収縮がその分泌を促しているのだ。

 IGF-1はインスリン様成長因子といって、インスリンと協力して糖質を細胞に運ぶのが役割だが、脳内では神経細胞を活性化したりBDNFの受け皿を増やして学習能力を強化しているという。

 脳は運動で直接刺激され、筋肉の援護射撃でさらに成長するのだ。