就職偏差値が高くても数年先は闇
特集「就活親子の大誤算」を読み解く

 2014年卒業生(現在の大学3年生)の「就活」が始まる時期に合わせて、『週刊ダイヤモンド』(12月1日号)が「今、入るべき会社 就活親子の大誤解」という特集を組んでいる。特集タイトルにある通り、就活に臨む学生自身も、その親御さんも、どの会社に入ったらいいのかということに大いに関心を持っているはずだ。

 一方、どん底だった2年前よりも少しはマシだとはいえ、大学生の就職事情は厳しい。かつてよりも大学卒業生は増えたが、経済は低成長で、企業側は採用に慎重だ。就職戦線たけなわともなると、「どの会社に入ったらいいか」というよりも、「どの会社に入れるか」が事実上就職先を決定するような状況が、多くの就活生に訪れる。

 この時期は、目先の就職偏差値に囚われて「せっかくこの会社の内定を取ることができるのだから、入らないともったいない」という気分で就職先を決めたくなるのが人情だが、ここが「堪えどころ」であり、少しでも「自分にとってよい会社」を選ぶべきだ。

 そうは言っても、会社選びは難しい。失敗したら株を売ればいい株式投資ならともかく、転職に大きなコストと手間がかかる“就職先選び”は難しい。

 難しさを実感するには、『週刊ダイヤモンド』の特集記事32ページ「勝ち組学生がはまるワナ 人気業界の大誤解」を見てみよう。特に「“地獄”の家電と“天国”の重電」のパートだ。

 これはたとえば、現在大赤字に苦しむシャープ、ソニー、パナソニックの大手家電3社と、インフラ関連・ファクトリーオートメーションなどの事業が好調でそれなり黒字を確保する日立、東芝、三菱電機の重電3社について、対照的に状況を説明した記事だ。

 先般、格付け会社のフィッチレーティングスは、長期債務の格付けとして、ソニーをBB-、パナソニックをBBに叩き落とした(ここまで、やるのか)。一般には格付けBBB-が、まともな条件で資金調達ができる、資金提供者側から見て「投資適格」の最低線とされる。