1年前に始めた
ずらし旅

 JR東海といえば、ちょうど1年前に分散型旅行を推進するキャンペーン「ずらし旅」について取り上げた。「ずらし旅」とは、ゴールデンウイークなどの混雑期に定番のスポットを回る旅ではなく、移動手段や場所、時間、視点をずらすことで、人混みや3密を避け、安心・安全に旅行を楽しもうというもの。

 今年に入って、ほとんどの期間で緊急事態宣言が発出されていたため利用は限定的というが、コロナが落ち着きを見せていた昨年11月は、JR東海ツアーズが発売する旅行商品の比較で、同年8月の8倍の売り上げがあったという。

 今年2月から3月にかけては、混み合う桜ではなく梅を楽しむという目的の「ずらし」で、三重県の「鈴鹿の森庭園」のしだれ梅や、「いなべ市農業公園」の100種4000本の梅など、知られざる梅の名所である三重の旅を発売。

 また6月から9月にかけては「星野リゾート リゾナーレ熱海」とのコラボ企画として、熱海の名物である花火の収録映像を客室内に投影して楽しむという、場所を「ずらし」た旅行商品を、時間を「ずらし」た平日限定のプランとして発売した。

 さらに7月から9月にかけて「あいち冷やし旅」と題して、本場フィンランドを再現したアイスサウナや、タコやフグの産地として知られる三河湾の日間賀島で取れたタコの冷しゃぶなど、季節を「ずらし」たプランを設定した(アイスサウナはサウナ好きの担当者の強い推しがあったとか)。ちなみにタコは一度凍らせることで程よく柔らかくなり、おいしさが増すそうだ。

 旅行商品ではないが、今年1月には、ずらし旅のTwitterアカウントでアンケートに回答した人に、保線用の機械である「マルチプルタイタンパー」が通称「マルタイ」と呼ばれていることから、マルタイラーメンとコラボした「マルチプルタイタンパーラーメン」を抽選でプレゼントするという、これまでのJR東海にはなかった遊び心も見せている。