もちろんそれはビジネス客も例外ではない。10月1日にサービスを開始した東海道新幹線のリモートワーク推奨車両「S work車両」が、そのひとつである。これは「のぞみ」7号車をパソコン操作や通話、ウェブ会議が可能な「S Work車両」として設定し、ネット予約&チケットレス乗車サービス「EXサービス」専用商品として発売するもの。

「N700S型」車両では新横浜~京都間限定で膝の上でパソコン操作ができる膝上クッションや、周囲からモニタ画面が見えにくくなる簡易ついたて、小型マウスやACアダプターなどのビジネスツールの貸し出しも行う。

 またこれも「N700S型」車両限定にはなるが、ビジネスでの利用を考慮してセキュリティーレベルの高い暗号化方式を採用し、つながりにくいと言われてきた従来の「Shinkansen Free Wi-Fi」の倍の使用容量を備える新しい無料Wi-Fiサービス「S Wi-Fi for Biz」の提供を、順次開始する予定だ。

コロナ禍をきっかけに
変わることができるか

 10月13日の会見において金子慎社長は、10月1日から11日までの「S work車両」の乗車率は25%と述べている。JR東海によれば「のぞみ」の平均乗車率と比べてかなり余裕があるということで、まだまだ定着には時間がかかると見るべきか、開始直後としては順調と見るべきか、判断は難しいところだ。

 だがJR東海によれば、利用者からは「周囲もPCを使っている人が多く仕事モードに入りやすくてよかった」などの声が寄せられており、ビジネスツールの貸し出しも好評で、順調な滑り出しと感じているとのこと。現在のサービスが完成形ではなく、今後も利用状況などを踏まえてサービスのブラッシュアップを続けていきたいとしている。