しかし、通貨、電子マネー、カードポイントとの決定的な違いは、管理者がいないことだ。通貨発行体としての中央銀行、ポイント発行体としての楽天のような管理者は存在しない。電子マネーやポイントであれば残高情報は管理者が運営するサーバーで情報が一元管理され、偽造も二重払いもできないのだが、ビットコインはサーバーも存在しない。

 しかし、偽造や二重払いができない仕組みは持っている。ビットコインでは、流通や取引が起こると、その情報はその周辺のビットコインに分散して部分情報としてあちこちに伝えられ保存される。そして、その情報全体を捉えることで偽造や二重払いができないアルゴリズムになっており、多数存在する個人個人のデバイス間で部分的な情報共有が行われる仕組みである。ピアツーピアと呼ばれる技術だが、この間の通信に暗号を使うので、暗号通貨とも呼ばれる。

 管理者がいないので発行者もいない。その代わりにマイニング(採掘)という行為が新たに生まれた。マイニングを行うには、ビットコインのすべての取引を追記し、追記期間の全取引データの整合性を正確に記録することが求められる。その報酬として、ビットコインが新たに発行される。これがマイニングと呼ばれる報酬を得る作業であり、新規発行はこのマイニングによってのみ行われる。

 初期のビットコインは取引量が少ないので計算も楽だったが、今や相当な流通があるために、演算には膨大な処理を必要とする。巨大な電力消費を伴うため、電力の安い国でマイニングが行われる。そのため、電力が安い中国で、特にウイグル地区などを中心に世界のマイニングの50%が行われてきた。

 ビットコインの最大供給量は2100万とされているが、2021年10月25日時点でビットコイン供給量は1885万3125あるので、約90%の採掘が終わっている。この時点で1ビットコイン=693万5227円なので、時価総額は約130兆円と計算できる。

 ビットコインを所有するときにはウォレットと呼ばれる、通貨情報を保存するための専用の仕組みが必要であるが、これが円やドルの銀行口座に相当する。