なぜスポーツの勝敗は後半戦で決まるのか?脳機能との知られざる関係サッカーのゲームでは前半と後半、どちらが血液中の乳酸の量が多いだろうか。そこにスポーツの勝敗を考えるヒントがある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

運動は脳の機能を押し上げて、感情コントロールさえしてくれるという。運動によって「脳力」がアップする、知られざるメカニズムとはどんなものか。スポーツで説明すると、サッカーやマラソンの勝敗を左右するのは、後半における脳の認知能力によるところが大きいという。(マガジンハウス『ターザン』2021年6月10日号特集「運動は、なぜ脳に効くのか?」より転載)

サッカーやマラソンでは
後半で判断ミスをしがち? 

 さて、ここで問題です。

 サッカーのゲームでは前半と後半、どちらが血液中の乳酸の量が多いでしょうか。ゲームが長引くほど糖質が分解されてどんどん乳酸が増えるから後半? 

 ブブー、答えは前半。

 というのも、乳酸は主にグリコーゲンという形で筋肉に蓄えられている糖質が分解されてできるから。糖質は脂肪のように体内に大量に蓄えられない。体脂肪は1キログラム、20キログラムと蓄えられるのに対して、グリコーゲンは肝臓に約100グラム、筋肉に約400グラムしか貯蔵できないのだ。

なぜスポーツの勝敗は後半戦で決まるのか?脳機能との知られざる関係各45分間のサッカーの前半・後半の血中乳酸濃度を比較すると、明らかに後半の濃度が低くなっている。長時間のスポーツでは前半の方が脳のエネルギーが潤沢なのだ。

 肝臓のグリコーゲンは主に血糖値の維持に使われるので、運動時のエネルギー源として使えるグリコーゲンはわずか400グラム。材料となるグリコーゲンが運動中にどんどん減っていけば乳酸の量も減っていく。よってサッカーのゲームでは後半、マラソンでも終盤になるほど頭はモーロー、判断能力が鈍る。

 運動開始後、カラダの中でいかに乳酸を作り出せるかが最後までパフォーマンスを維持する決め手になるというわけ。