連日のように報道される最近のミャンマー関連の記事を見ていると、この国がついこの前まで軍事政権下にあり、海外からの積極投資からはほど遠い世界だったことが、はるか昔の出来事のようにさえ錯覚してしまう。

一方で、この国の現地企業の中には、直前の軍事政権下どころか、その前の社会主義経済の時代から、かれこれ50年にわたり劣悪な事業環境をじっと耐えしのぎながら、今まで過ごしてきた会社もある。今回は、ごま油等の生産販売を手掛けて創業56年になるGolden Hourse Company Limited社のThein Han社長へのインタビューから、ミャンマーが辿ってきた社会主義政権時代の経済状況を振り返ってみてみたい。

なお、ミャンマーは1989年に国名をビルマ(Burma)からミャンマー(Myanmar)に変更しており、その当時はビルマであるが、混乱を避けるため本稿では一部を除きミャンマーと記載することとする。

すでに創業50年以上
社員150名超の食用油会社

クーデターに超インフレ、3度の廃貨政策も克服<br />時代に翻弄され生き抜いた食用油会社の事業家魂Golden Hourse Company Limited社のThein Han社長 Photo:Japan Asia Strategic Advisory

——現在はどのような製品を生産していますか。

社長 現在弊社は、ピーナッツ油、ごま油、パームワインの製造及び輸出を行っています。日本ではごま油は馴染みがあると思いますが、ピーナッツからとれる油もミャンマーでは非常に一般的です。

——社員は今何名ぐらいいるのですか。

社長 現在は工場に100名程度、それ以外のオフィスや各地の営業所などに、50名程度います。

——ちなみに貴社の創業はいつですか。

社長 私の父が創業したのが1956年ですので、もう55年以上前ですね。私は1951年生まれですので、創業時はまだ5歳でした。