半導体不足や資源高が業績を左右
全体では業績の上方修正が目立つ

 証券コード順に注目の決算を見ていこう。全体では上方修正が目立つ好決算となった。

 コロナ禍での勝ち組企業、エムスリーの上期決算は増益率が加速。前期比で2.6倍の営業利益をたたき出した。だが、市場は受注の伸び率低下を嫌気して株価は調整が続く。受注鈍化は人手不足が背景にあり、人材の採用を急ぐ。

 旺盛な半導体需要と深刻な半導体不足も各社の決算に影響を与えた。勝ち組の信越化学工業やアドバンテストが好決算を出す一方で、ファナックは部品不足により業績を下方修正。任天堂もNintendo Switchの減産を余儀なくされた。

 ただし、ファナックは工場の自動化という中長期で需要拡大が見込める分野で高い技術力を持つ。任天堂を含め、部品不足の解消が早い段階で実現するならば、株価が低迷中の今がチャンスかもしれない。

 日本製鉄、日本郵船、トヨタ自動車なども業績の上方修正を発表。日本郵船は増配により、配当利回りは10%を超える水準となった。

 にもかかわらず、日本製鉄のPERは3倍台、日本郵船のPERは1倍台と割安に放置されたままで、株価が反応していない。市場が来期の大幅減益を織り込んでいるためだ。来期の減益幅が想定より小さければ、株価は再び上値を目指す可能性が高い。

 三菱商事も上方修正を発表。資源高で総合商社は上方修正ラッシュとなったが、特に同社は資源比率が高い。配当も増額したことで、配当利回りも4%超と魅力的な水準となった。