SAGEはどんなときにどういう働きをしているか

 SAGEは、緊急事態が発生したときに政府に助言を与える政府機関で、英国の首席科学顧問パトリック・バランス卿が議長を務める(Scientific Advisory Group for Emergency)。

 SAGEが最初に召集されたのは、2009年の「豚インフルエンザ」のパンデミック。それ以降は、下記の事態で召集されている。

2010年「アイスランド・エイヤフィヤトラヨークトルの大規模噴火」
●2011年「東日本大震災・福島第一原発事故」
2013~14年「英国の冬の洪水」
2014年「エボラ出血熱」
2015年「ネパール地震」
2016年「ジカ熱」
2018年「エボラ出血熱」
2019年「トッドブルック貯水池の壊滅的な決壊の可能性」
●2020年「COVID-19パンデミック」

 英国内で起きたことだけではなく、海外で起きた緊急事態に遭遇した英国人に対してもアドバイスをするために、専門的な分析を行うのが特徴だ。

 例えば、東日本大震災・福島原発事故の際にも、地震発生から6日以内に、さまざまな可能性のあるシナリオを迅速にモデル化し、英国政府に対して、在日英国人のリスク管理方法を助言した。また、この助言は、日本政府にも伝えられ、事故対応に影響を与えた(“The UK Response to Fukushima and Anglo-Japanese Relations”Science & Diplomacy)。

 SAGEの特徴は、学会や産業界、政府内の専門家がメンバーとなり、メンバーの専門分野の幅が広いことと、緊急事態によって参加者が異なることである。これは、政策決定には、危機に関連するあらゆる種類の証拠、情報源、専門性をすべて把握し、活用することが必要だという考え方によるものだ。

 新型コロナ対策については、ウイルス学者、臨床薬理学者、疫学者、統計学者、微生物学者、数理生物学者、進化生物学者、エマージェンシープランナー、社会心理学者、心理学者、医学者などが招集されている(List of participants of SAGE and related sub-group)。