医療関係者、調理師、美容師などは就業中に水に触れる回数が多い上に、薬品などの刺激も加わって手指の保護機能が慢性的に弱っている人が多い。そのため、冬に限らず一年中、通院する人も少なくないそうだ。

「コロナ禍になって以降は、水仕事をしない職種の患者さんも増えました。意外と多いのがアパレル関係。布を扱うために手の油分が奪われてしまいがちで元々荒れやすい状況なのですが、コロナ禍で手洗いや消毒の機会が増えたため、手荒れを引き起こしたのではないでしょうか」

 アパレル関係者同様、元々手先や指先にダメージを受けており、新しい生活様式が症状を引き起こしている職業があるという。それはデスクワーカーだ。

「パソコンを長時間使っている人は、手や指が乾燥している傾向があります。キーボードのタイピングの動作は意外と指先に衝撃を与えていますし、パソコンの熱により乾燥しやすい環境になっているため、より乾きやすくなるのです。毎日のパソコン業務で指先にダメージが蓄積している場合、そこに冬場特有の乾燥や冷えが重なると、キーボードをたたいたときの衝撃だけで指先がひび割れる人もいます。また、スマートフォンの使いすぎも乾燥の原因になります。スマートフォンは熱を持っているので、手の水分が蒸発しやすいのです」

正しく選ばなければ
悪化する危険性も

 手荒れの大敵が「乾燥」であるなら、乾かないようにする対策、つまり「保湿」が重要となる。手肌の潤いを補うといえば「ハンドクリーム」だが、野村氏は「荒れ方ごとに、適した成分が入っているハンドクリームを使ってください」とアドバイス。

「ハンドクリームの種類は、大きく三つに分けられます。一つ目が、尿素が配合されている『尿素系』。二つ目が、主にセラミドやヘパリン類似物質などが配合されている『保湿系』。三つ目が、主にビタミンEなどが配合されている『ビタミン系』です」

 では、成分と症状の相性とは。