「硬くなった皮膚を柔らかくする効果がある『尿素系』は、角化(厚く硬くなっている状態)してカチカチ、ゴワゴワになっている状態の手肌に使用します。続いて『保湿系』は、粉っぽい、軽度のかさつき、軽いささくれが目立つなど、手荒れの初期段階で使うと良いでしょう。保湿系は予防としての使用にも向いています。初期状態よりも少し進行し、ひび割れやあかぎれが見られるようになったり、赤みが気になったりする場合は、『ビタミン系』の出番です」

 ドラッグストアでも手に入る各種類の市販品は、尿素系なら「ケラチナミンコーワ」、保湿系なら「キュレル」や「ヒルマイルド」、ビタミン系なら「ユースキン」などが代表的だ。重症になる前で、かつ症状にマッチする成分のものを使えていれば、市販のハンドクリームでも十分な改善効果が期待できるという。

「しかし、出血して痛い、赤く腫れている、猛烈にかゆい、痛くて指が曲げられないという域にまで進行してしまったら、もうセルフケアでは手が打てません。すぐに皮膚科で診てもらってください」

 処方薬でなければ太刀打ちてきないレベルにまで重症化してしまったら、うかつに市販薬を塗る行為はNG。悪化の危険すらはらんでしまう。

「ひびやあかぎれがある部分に尿素系のハンドクリームを塗るのは避けてください。尿素は傷口や炎症部分に塗ってしまうと刺激となり、余計に病状を進めてしまう恐れがあります」

 人によっては、手荒れの進行度に適した種類のハンドクリームを使っていても、香料や防腐剤などの成分が肌に合わずに荒れを起こす場合もあるという。もしも異変を感じたらすぐに使用を中止し、皮膚科へ行くべきだ。

ハンドクリーム+手袋で
夜のスペシャルケア

 ハンドクリームを選ぶ際、成分と並んで気になるのが「使用感」ではないだろうか。ローション、クリーム、軟こう、ジェルなどさまざまなタイプがあるが、それぞれ一長一短がある。

「クリームや軟こうは油分が入っていて刺激が少ないのですが、塗った後のベタつきが気になるという人も多いでしょう。ローションやジェルは塗り心地がサラッとしている代わりに、傷口に染みて痛いという声もあります」

 ハンドクリームの質感も、症状に合わせて変えるべきなのか。