忘年会絶滅で困るのは
誰なのか?

 その解決の糸口として、そもそも論を考えてみます。忘年会がなくなることで困るのは誰でしょう? もちろん飲食店は困るのですが、それ以外に二つ、大きな利害関係者がいます。一つは会社、そしてもう一つは日本政府です。

 忘年会とはそもそも何かというと、古来日本社会で必要とされてきた「祭り」「祭り事」がそのルーツです。

 日本の村社会では秋に収穫が終わると秋祭りが開かれます。日常を「ケ」とすればこの祭りの日だけは「ハレ」とされ、一年の中でハメを外して楽しむことがよしとされます。この「祭り」には村社会の構成員を結束させ、つなぎとめるという重要な役割があります。ハレの日に構成員全員でハメを外して楽しむ中で、組織への帰属を再認識させ、組織がその生活の基盤になっていることを一人一人が認識する。それが組織の求心力維持にとても大切な役割を果たしてきました。

 その村社会という組織は、現代では会社組織に形を変えて存続しています。そして会社にとっても、求心力を維持し会社組織への帰属意識を高め、忠誠心をキープするためには「祭り」が必要です。年に2度、昔の共同体で花見と秋祭りでハメを外していた習慣は、会社組織では春の歓迎会と冬の忘年会に形を変えて続いてきました。

 つまり、忘年会を開くことで一番の受益者は誰なのかというと、実は酒飲みの社員ではなく会社そのものなのだというのが忘年会の真実です。

 社長にしても役員にしても部長にしても忘年会を開くことで組織の結束が高まる効果が大きいので、本当は、忘年会は維持したい。そうやって昭和の時代から続いてきた習慣が、令和の今、コロナがきっかけで途絶える可能性がある。会社が利害関係者であることを認識すると忘年会対策の違う打ち手が見えてきます。