製造工程の見学「強烈な刺激臭」

蒸溜機は2機と少ないが、容量はスコットランド最大級を誇る蒸溜機は2機と少ないが、容量はスコットランド最大級を誇る

 社史を頭に入れたあとは、実際にウイスキーをつくっている現場の見学です。スコッチといえば、香りづけに使われる泥炭「ピート」の存在が欠かせません。上を向くと、麦芽を置いて下からピートを焚く天井が、当時のままに残されていました。こちらは現在使われておらず、展示用とのことです。

 ウイスキーの原料は麦芽、モルト。途中まで、ビールの工程と同じだとウィルさんが説明してくれました。麦と水を混ぜて糖化、ビール状になった麦汁を発酵させ、そのもろみをポットスチルと呼ばれる、銅製の蒸溜機に入れます。それを2度蒸溜し、最後は樽に入れて熟成させます。

麦汁を発酵させている発酵槽麦汁を発酵させている発酵槽

 実際に、これらの過程をすべて見学することができるのですが、いちばん始めの麦芽に湯を投入し、糖化させている糖化槽(Mush Tun)、そして発酵エリアに1歩足を踏み入れると、強烈な臭いが鼻を突き抜けました。

 これまで嗅いだことのない刺激臭……正直、クサい……。

 巨大な蓋つきの発酵槽(Washback)の見かけは、日本酒をつくる木桶と似ています。ビールの糖化槽もいく度か見学したことがありますが、どれもこのような強い臭いはなく、驚きました。

 軟水を使うことが一般的であるなか、グレンキンチー蒸溜所は地元で湧き出る硬水が使われているそうですが、それが原因かどうかは定かではありません。ウイスキーが納豆と同じ、発酵食品の一種であることを思い出させてくれるコーナーです。