2年前まで好調だった中国市場が暗転した結果、建機メーカーや部品メーカーは軒並み業績ダウンが見込まれる。日本建設機械工業会の会長を兼務する、キャタピラージャパンの竹内社長に実情を聞く。

キャタピラージャパン社長(日本建設機械工業会会長)<br />竹内紀行<br />中国市場がすべてではない<br />建機は世界中で必要になるPhoto by Shinichi Yokoyama

──習近平新政権が発足した中国。だが、金融引き締めで建機市場の冷え込みは長引いているし、尖閣諸島の領有権をめぐって政治的な緊張状態が続いている。中国市場をどう見ているか。

 中国に限らず、新興国では金融制度などの規制緩和を進めながら公共工事を次々と立ち上げ、国として大量の雇用を創出することで、国内の経済を活性化させてきた。

 そのような大きな流れを抜きにしてIT産業やサービス産業の重要性を訴えても、根っこを支えるインフラが整備されていなければ、新しい産業は成り立たない。

 中国の建機市場は、依然として重要であり続けるし、これからもしっかり向き合っていきたい。

──しかしながら、建機メーカーのコマツは今期の中国市場における売上高の見通しを25%減の1500億円に下方修正した。同じく日立建機も45%減の744億円に引き下げた。中国の建機メーカーに油圧機器を販売する川崎重工業やKYBも見通しを修正した。

 まず、短期的に需要がピークを迎え、その後ガクンと下がった。

 中国市場で圧倒的な支持を得た日本製の油圧ショベルは、建機の“万能ロボット”で、掘る、運ぶ、吊るといった細かい作業が得意だ。その性能と耐久性により、世界のスタンダードになったのは1980年代の後半だったが、中国では2002年以降になって一気に需要が拡大した。

 また、中国は建機の輸入が禁止されていたので、最初は中古建機が香港経由で中国大陸に渡った。