手口その1:
ZOZO前澤氏をかたり、ビットコインをプレゼントする

 2020年6月、ZOZO創業者の前澤友作氏であるとウソをつき、ビットコインをプレゼントするという詐欺が行われました。口座確認のために送ってくれたビットコインを2倍にして送り返すというものです。0.1~10BTCを送れば、0.2~20BTCになるのです。当時1BTCは100万円だったので、10万~1000万円を送れ、というわけです。

 ネット詐欺師は、認証済みマークの付いたTwitterアカウントを利用していたので、多くの人がだまされました。送った分が2倍になるのですから、多く送った方が得です。

 Twitterでは詐欺被害に遭った人たちの嘆きが投稿されていましたが、被害回復は見込めません。今までのところ、犯人のアカウントには17億3000万円分のビットコインが入金され、全額引き出されています。

 昔から「○○円欲しいなら手数料を振り込んでください」という当せん詐欺はあります。この事例も似た変化系と言えるでしょう。

手口その2:
1秒で売り切れ!イカゲームの仮想通貨

 つい最近、2021年10月から11月にかけて、大きな仮想通貨詐欺が起きました。動画配信サイト「Netflix」で人気を集めている韓国のアクションサスペンスドラマ「イカゲーム(英:Squid Game)」をモチーフにした仮想通貨が公開されたのです。「1スクイッドゲーム(SQUID)=1円」で売り出され、わずか1秒ですべて売り切れました。

 短期間で急速に値上がりしたので、メディアが取り上げ、それを見た人たちが買ってさらに値上がりしました。しかし、スクイッドゲームのトークンは、イカゲームのようなゲームをプレーするために使われるものです。そして、換金するためにはゲームで勝利した時に得られる別の仮想通貨が必要になります。つまり、ゲームがリリースされていない状況では誰も換金できません。

 そして6日目の朝、1SQUIDが32万円を超えました。30万倍以上に値上がりしたわけですが、1人を除いて換金することはできません。そう、この仮想通貨を作った開発者です。開発者はすべてのSQUIDを売却して、推定2億~3億円を得て雲隠れしました。当然、スクイッドゲームのトークンは即暴落してしまいます。

仮想通貨SQUIDの値動き。このように、暴騰し、暴落するというのは詐欺トークンの典型的なパターンだ Photo by Tomonori Yanagiya仮想通貨SQUIDの値動き。このように、暴騰し、暴落するというのは詐欺トークンの典型的なパターンだ Photo by Tomonori Yanagiya